サッカーボール進化史(前篇)

2018年ロシアW杯まで、あと約半年。グループ分け抽選も終わり、星の予想に忙しくなっていく時期ですが、ここでは、その真剣勝負に不可欠な「サッカーボール」の進化についてお話したいと思います。

突然ですがサッカーボールに関する規定って皆さんご存知でしょうか?競技規則によると以下の通りとなっています。

• 球形
• 適切な材質
• 外周は、70cm(28インチ)以下、68cm(27インチ)以上
• 重さは、試合開始時に450g(16オンス)以下、410g(14オンス)以上
• 空気圧は、海面の高さの気圧で、0.6 ~ 1.1 気圧(600 ~ 1100g/cm2:8.5 ~15.6ポンド/平方インチ)

あれ?えらくシンプル・・・、と思いませんか?そうなんです、実はオフィシャルの定める「サッカーボール」ってかなりアバウトで、その緩さが各メーカーが競って自らの技術を詰め込む余地となって現在に至るわけです。(最もW杯のような大会ではFIFAアプルーブドという真球度や耐久性を更に厳密にした規定をクリアする必要がありますが・・・)

現代サッカーの直接の起源は、1863年のThe FA(イングランドサッカー協会)設立まで遡ることができますが、この頃のボールの素材は牛の膀胱を膨らませたものに牛皮の外皮を貼りつけたというものでした。その後、内部の空気圧を安定させるために牛の膀胱の代わりにラテックスを使用するようになったり、エア抜けを防ぐバルブがついたりといった変化を遂げながら、その後およそ百年にわたって世界中に広がり使用されました。

外皮のデザインは特に規定にないので様々な形があったようですが、一番ポピュラーだったのは上の立方体の各面を三枚の長方形で構成するタイプでした。今でもバレーボールに使われている事からも分かるように真球度を上げるのに優れたデザインです。ワールドカップでは1930年の第1回大会から1966年の第8回大会までマイナーチェンジを繰り返しながらも基本的にはこのタイプのボールが使われました。

そして現代サッカー誕生から100年余りが経過した1960年代後半、サッカーボールは大きな進化を遂げることになります。

皆さんがサッカーボールと言われて頭に思い浮かべるのは、今でも黒の五角形と白の六角形を組み合わせた切頂二十面体のこのボールではないかと思います。1970年の第9回ワールドカップ、メキシコ大会で採用されたこのボールは幾つもの新機軸が盛り込まれています。先ずはその外皮パネルデザイン、より真球度を上げる(それによってボールが原因のイレギュラーバウンドを防ぐ)ために採用されたこれまでとは全く違った複雑な多面体構造、そしてボールの視認性を上げるための配色。これには2つの意味があり、まずは当時普及し始めたテレビ中継で観戦する人のため(このワールドカップは初の衛星中継が行われた大会となりました)、当時の荒く小さな画面でもボールが見やすいと評判だったようです。ちなみにこの公式球の名前、TELSTARはTelevision Starから命名されたものと言われています。まさにこれから始まるテレビ観戦時代を象徴していたわけです。もう一つはプレイヤーがボールの回転を視認しやすくなったこと、これによってボールの挙動が予想しやすくなり、ゲームにおいて確かな予測技術をもったプレイヤーが優位に立てるようになりました。

もう一つ、ボールの構造とは直接関係ないのですが、このメキシコ大会はアディダス社が大会で使用する公式球を全て供給する最初の大会となりました。ここから現在まで続くワールドカップの商業化を象徴するサッカーボールになったと言えるかも知れませんね。

次回は以降の各ワールドカップ公式球を紹介するとともに、ここからどのような進化を遂げていったのかを振り返りたいと思います。

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